トピックス:事業承継税制の改正について
事業承継税制の適用要件の緩和・手続きの簡素化
概要
非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例(以下「事業承継税制」といいます。)の適用要件の緩和や手続きの簡素化などが行われます。主な改正の内容は次のとおりです。
事前確認制度
- 経済産業大臣の認定を受けるための要件であった「経済産業大臣の確認」の制度が廃止されました。
適用要件
- 資産管理会社について、特例の適用を受けるための一定の要件が変わります。
- 後継者の要件のうち、被相続人等の「親族」であることとする要件が廃止されます。
- 先代経営者(贈与者)が、贈与時において「役員」の場合であっても、特例の適用を受けることが可能となります。【贈与時のみ】
- 特例の適用を受ける会社が株券不発行会社であっても、一定の書類を提出することにより、株券を発行することなく株式を担保として提供することが可能となります。
納税猶予期限の確定事由
- 経営承継期間における常時使用従業員数に係る納税猶予期限の確定事由の一部に改正があります。
- 代表権を有しない役員である先代経営者(贈与者)が、会社から給与等の支給を受けた場合であっても、納税猶予期限の確定事由に該当しないこととなります。【贈与税のみ】
- 納税猶予期限の確定事由である「総収入金額が零となった場合」の判定について、総収入金額の範囲から営業外収益及び特別利益が除外されます。
納税猶予税額の計算
- 納税猶予税額の計算において、被相続人の債務及び葬式費用を相続税の課税価格から控除する場合には、非上場株式等以外の財産の価額から先に控除するなど納税猶予税額の計算方法が変更されます。【相続税のみ】
- 特例の適用を受ける会社が資産管理会社に該当する場合において、その会社等が一定の上場株式等を保有するときには、納税猶予税額の計算上、その会社等がその上場株式等を保有していないものとして計算することとなります。
- 経営承継期間の経過後に、民事再生計画の認可決定等があった場合には、その時点における非上場株式等の価額に基づき、納税猶予税額の再計算を行い、再計算後の納税猶予税額で納税猶予を継続することが可能となります(再計算前における納税猶予税額から再計算後の納税猶予税額を控除した差額は、免除されます。)。
納税等
- 改正事項「6」の確定事由により猶予期限が確定した納税猶予税額について、相続税については延納又は物納、贈与税については延納の選択が可能となります。
- 経営承継期間の経過後に、納税猶予税額の全部又は一部を納付する場合には、その経営承継期間中の利子税が免除されることとなります。
提出書類
- 申告書等の提出時に提出する添付書類のうち、一定のものが提出不要となります。
適用期日
上記の改正(「1」は平成25年4月1日以後に受ける認定について適用されます)は、原則として、平成27年1月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する非上場株式等に係る相続税又は贈与税について適用されます。
なお、改正前の事業承継税制の適用を受けた(又は受ける)場合であっても、一定の要件を満たす場合には、選択により、平成27年1月1日以後の期間について改正後の事業承継税制の一定の改正事項の適用を受けることができます。