平成30年度税制改正で事業承継税制の特例措置が制定されました。
事業承継税制とは、後継者が、事業を相続又は譲り受けその会社を経営していく場合において、後継者が納付すべき非上場株式等(経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式に限る)について係る相続税、贈与税の納税が猶予される制度になります。
特例措置を受けるための条件として、今後5年以内に認定経営革新等支援機関の所見を記載の上、特例承継計画を都道府県知事に提出し、10年以内(2027年12月31日まで)に事業承継を行う場合において、事業承継税制の特例措置を適用できるようになります。下記の1から5が現行制度より優遇される内容となります。
現行制度 | 特例措置 |
納税猶予の対象となる非上場株式は、発行済株式数の2/3までで、相続税等の猶予割合は80%でした。(実際の猶予は全体の53%) | 納税猶予の対象となる非上場株式は、発行済株式数のすべてが対象となり、相続税等の猶予割合が100%に拡大されました。 |
現行制度 | 特例措置 |
事業承継後5年間の雇用平均を8割維持することが求められ、維持できない場合は猶予された相続税等を全額納付する必要がありました。 | 事業承継後5年間の雇用平均が8割未満であっても相続税等の猶予が継続できるようになりました。 (理由報告、認定支援機関による指導等が必要) |
現行制度 | 特例措置 |
1人の経営者から1人の後継者のみへの相続等が対象になっていました。 | 複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も可能となりました。 |
現行制度 | 特例措置 |
後継者が事業の継続が困難な事由が生じた場合の自主廃業や、売却を行う際は納税の猶予がなくなり、相続等が行われた時の株価により納税額が計算されていました。 | 事業の継続が困難な事由が生じた場合の自主廃業、売却を行う際に納税の猶予がなくなった際にも、廃業、売却時の評価額を基に納税額を計算するため、本来の納税額との差額が減免されます。 |
現行制度 | 特例措置 |
相続時精算課税制度は、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫への贈与が対象でした。 | 事業承継税制の適用を受ける場合の相続時精算課税制度は、60歳以上の贈与者から、20歳以上の後継者(贈与者の子や孫でなくても適用可能)へ範囲が拡大しました。 |
平成30年1月1日以後の贈与・相続等から特例措置が適用されます。
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