私たちが住む日本では自然災害に見舞われることがとても多く、被害額も全世界の被害総額の2割以上を日本が占めています。それに伴い、昨今でも台風や大雨などの災害により住宅や家財に損害を受けてしまうケースが年々増加している傾向にあります。
万が一、被害にあってしまった場合には少しでも支出を減らせるよう、災害における所得税・住民税の軽減制度、「雑損控除」・「災害減免法」について紹介します。
生活に必要な住宅や家財、業務用資産について災害・盗難・横領によって損害を受けた場合に一定金額を所得税から差し引ける制度です。
[1]どんな災害や支出が対象?
台風や大雨、地震による土砂崩れや浸水、家屋の倒壊などで、住居や家財、車など生活に必要な財産について損害が出た場合が対象です。また、本人や配偶者が所有している自宅だけでなく仕送りで生活する親族が所有している自宅(生計を一にする親族等については所得制限あり)、一定の規模以内の賃貸用不動産、通勤用の車、土砂の除去作業にかかった費用なども損害の対象に含めることができます。ただし、別荘が被害を受けた場合や避難した場合のホテル代、趣味で購入した車などは含めることができません。
[2]どのくらい所得金額を減らせる?
次の(1)と(2)のうちいずれか多い方の金額となります。
(1)(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額の10%)
(2)(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円
なお、その年の所得金額よりも算出した控除額の方が上回り、控除しきれない金額があるときには、その金額を翌年以降最大3年間を限度として繰り越して各年の所得金額から控除することができます。
また、損害金額の計算方法、災害等関連支出の金額、保険金等の額の概要に関しましては国税庁のホームページに明記されています。
災害により住宅や家財に大規模な被害を受けた場合に、所得税そのものが減免される制度が災害減免法です。住宅、家財について50%以上の被害を受けた場合で、その年の所得金額が1,000万円以下であれば適用を受けられる可能性があります。
[1]どんなものが対象になる?
対象となるのは、あくまでも本人や本人と生計を一にする配偶者や親族(所得制限あり)が所有する住宅、または日常生活に通常必要な家具、衣服、書類その他の家庭用動産に大規模な損害を受けた場合になります。ですので、賃貸用の不動産物件はもちろんのこと、別荘や書画、骨とうなどの娯楽品は含まれません。
[2]どのくらいの所得税が減免される?
その年の所得金額によって減免される金額は変わります。具体的には以下の通りです。
・500万円以下 → 全額免除
・500万円を超え750万円以下 → 1/2免除
・750万円を超え1,000万円以下 → 1/4免除
・1,000万円超 → 適用なし
[3]損害割合が50%以上というのはどう判断するか?
住宅と家財、別々に「50%以上の損害かどうか」の判定をして、どちらかでも50%以上と判断されれば、制度の適用を受けられます。具体的な判定は「災害直前の時価」と「災害直後の時価」で計算しますが、火災保険や地震保険などの保険金を受け取った場合には、保険金額を引いた金額が損失額となります。もし個別に損失額を判断できない場合は上記1.【雑損控除】と同様に「損失金額の計算方法」で計算することができます。
以上が災害時における所得税・住民税の軽減制度になりますが、【雑損控除】と【災害減免法】は適用となる対象者、対象となる資産の範囲、軽減できる所得税額などが異なり、同時に使うことができないので両方の条件を満たしている場合には、自分にとって有利な方を選択する必要があります。その場合、税金控除の有利不利を最寄りの税務署に相談するなどし、少しでも支出を減らすよう行動することが大切です。
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