私たちの暮らす日本では台風等の大雨による浸水被害や地震による震災等、自然災害に見舞われることが多く、昨今でも南海トラフ巨大地震への警戒が強まっていることから、自然災害とは常に身近な存在にあると考えられます。
もちろん自然災害に見舞われないに越したことはありませんが、万が一被害にあってしまった場合における納税の猶予等の納税の緩和制度についてご紹介いたします。
※今回は(2)と(3)について記載いたします。
(1)の内容については2022.8.31掲載の「災害時における所得税・住民税の軽減制度について」をご覧ください。
災害等によりやむを得ない理由がある場合には、申告期限や納付期限の延長をすることができ、その方法には以下の2つがあります。
【国税庁長官の地域指定による自動延長】
国税庁長官が、大規模な災害があった場合に、その地域を指定して申告期限や納付期限を延長するものです。この場合、自動的に各期日が延長されるため納税者においては特別な手続き等は必要ありません。
【納税者からの申請による延長】
上記の地域指定が行われない場合や、地域指定外の納税者が災害等のやむを得ない理由により、申告期限や納付期限を延長する必要がある場合は、納税地の所轄税務署に災害が止んでから相当の期間内に「災害による申告、納付等の期限延長申請」を提出します。
災害により被害を受けた納税者は、納税の猶予を申請することができます。この納税の猶予制度には以下の2つがあります。
【災害により20%以上の財産が被災した場合の納税猶予制度】
災害により財産に相当な損失を受けた場合には、税務署に申請をすることによって「災害により財産に損失を受けた場合の納税の猶予」を受けることができます。
対象国税 |
災害のやんだ日以前に納税義務が成立しており、災害により財産に損失を受けた日以降1年以内に納期限が到来する国税 ※例えば、納税義務の成立は申告所得税であれば暦年終了の時(12月31日)、法人税であれば事業年度終了の時となり、その後納期限までに災害を受けた場合が対象となります。 |
要件 |
1.災害により財産に相当な損失を受けたこと(保険金等により補てんされる金額は損失額から控除) ※相当な損失とは被害額が全資産額のおおむね20%以上である場合をいいます。 2.災害のやんだ日から2ヶ月以内に申請があること |
申請方法 |
「納税の猶予申請書」を税務署へ提出 ※納税の告知がされていない源泉徴収等による国税の猶予を申請する場合には、所得税徴収高計算書、登録免許税の猶予を申請する場合には、登録等の事実を明らかにする書類を「納税の猶予申請書」に添付する必要があります。 |
納税の猶予の期間 |
その納期限から1年以内
※予定納税に係る所得税並びに中間申告の法人税及び消費税は、最長で確定申告期限まで猶予。 |
猶予金額 | 対象国税の全部又は一部 |
担保 | 不要 |
延滞税 | 猶予期間に対応する延滞税の全額を免除 |
【災害等により納付困難となった場合の納税の猶予について】
災害により被害を受けたことに基づき、納期限を経過した国税を一時に納付することが困難と認められる場合、または上記の「災害により財産に相当な損失を受けた場合の納税の猶予」を受けてもなお納付することが困難と認められる場合は、税務署に申請することにより、「災害等により納付困難となった場合の納税の猶予」を受けることができます。
要件 |
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申請方法 |
「納税の猶予申請書」及び添付書類を税務署へ提出 ※添付書類は次のとおりです。
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納税の猶予の期間 |
1年以内。やむを得ない理由があると認められるときは、申請に基づき、延長することができる。 |
猶予金額 | 災害等により被害を受けたことに基づき一時に納付することが困難と認められる金額 |
担保 | 原則として必要(猶予金額が100万円以下、猶予期間が3ヶ月以内又は特別の事情がある場合は不要) |
延滞税 | 猶予期間に対応する延滞税の全部又は一部を免除 |
以上となります。
延長や猶予の申請を怠ってしまうと、延滞税等が加算される場合がありますのでもしもの時に備え、上記制度を確認し、負担を軽減させることが大事です。
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