昨今の物価上昇や少子化問題を背景に、私たち自身で老後資金を確保していくことの重要性が高まっています。こうした状況を受け、令和7年度の税制改正案では、企業型DC(確定拠出年金)とiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金限度額の引き上げが検討されています。
○企業型DC
企業が掛金を積み立て従業員が自ら運用商品を選び運用します。運用した成果は、原則として60歳以降に年金または一時金として受け取れる制度です。
○iDeCo
個人で加入し掛金を積み立て自ら運用商品を選び運用します。運用した成果は、原則として60歳以降に年金または一時金として受け取れる制度です。
ほぼ内容は同じですが、企業で加入するか個人で加入するかの違いになります。
加入するメリットとしては支払額が全額所得控除とされるため節税効果が大きくなります。デメリットは、原則60歳以降にならないと掛金を引き出すことができないため資金の流動性に欠けます。
現行の掛金に関しては下記の通りになります。
加入内容 | 掛金の上限 |
iDeCo(第1号被保険者・自営業) | 68,000円/月 |
iDeCo(第2号被保険者・会社員) | 23,000円/月 ※20,000円/月(※1) |
iDeCo(第3号被保険者・専業主婦) | 23,000円/月 |
企業型DC | 55,000円/月 |
※1 企業型DCに加入されている方はiDeCoの掛金上限が20,000円になります。また、企業型DCなどへの拠出額と合わせて月額55,000円が上限となり、その範囲内でiDeCoへの拠出額が決まります。
掛金の上限の引き上げ
加入内容 | 変更後の掛金の上限 |
iDeCo(第1号被保険者・自営業) | 75,000円/月 |
iDeCo(第2号被保険者・会社員) | 62,000円/月 ※27,000円/月(※2) |
iDeCo(第3号被保険者・専業主婦) | 23,000円/月 |
企業型DC | 62,000円/月 |
第1号被保険者及び第2号被保険者並びに企業型DCは7,000円上限が上がりました。
第3号被保険者は変更ありません。
※2 企業型DCに加入している会社員の場合、iDeCoの掛金上限は月額27,000円となります。こちらも企業型DCなどへの拠出額と合わせて月額62,000円が上限となり、その範囲内でiDeCoへの拠出額が決まります。
現時点ではこの税制改正案が法改正として成立し施行される時期は正式に決定していません。しかし、順調に進めば令和8年頃には改正が実施されるのではないかと思われます。
人生100年時代と言われる現代において、老後資金として2,000万円が必要という目安が示されるなど、自己資金の準備がますます重要になっています。今回の確定拠出年金の掛金上限引き上げは、より多くの老後資金を効率的に準備するために重要だと思います。
これを機に、iDeCoや企業型DCへの加入、あるいは既に加入している方は掛金の増額を検討してみてはいかがでしょうか。老後の安心のための一歩を踏み出す良い機会かもしれません。
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